EBITDA
2026年08月04日 14:48
EBITDAとは
企業の経営状況を分析する指標としてEBITDAがあります。このEBITDAは
Earnings:利益
Before:(控除)前
Tax:税金
Interest:(支払)利息
Depreciation:有形固定資産の減価償却費
Amortisation:無形固定資産の減価償却費・繰延資産の償却費等(Amortizationとも書きます)
の頭文字であり、「イービットディーエー」、「イービッタ」、「イービットダー」、「エビータ」、「エビティーダ」などが用いられ、一つには定まっていません。企業の収益力を測る最も基本的な指標は一般に(税引前)当期純利益(Earnings Before Tax )ですが、このEBITDAは更に支払利息(Interest)、および減価償却費等(Depreciation , Amortization)、特別損益(上記英単語には記載がありません)等が控除される前(Before)の値です。法人税率や減価償却費は税法で規定されるため、企業が事業所を置く国の政策によって左右されます。また、金利水準も国によって異なります。また、特別損益も毎期定期的に生ずるものではないため除かれます。これらの、各国の税法、金利、会計基準の違いを取り除いた利益の額がEBITDAです。このためEBITDAは、多国籍企業の業績を評価する場合や、異なる国の同業他社間で業績を比較する場合等に有用な指標であるとされています。また、企業が設備投資やM&Aなどの先行投資を積極的に行なえば、短期的には減価償却費が増大したり、のれんを再評価すれば償却費が発生するなど、現金支出を伴わない費用が大きくなり、会計上の利益は小さくなります。EBITDAではこのような短期的な影響が除かれるため、特に企業の国際比較を行う上ではEBITDAは長期的な視点で企業価値を評価するには適切な指標となります。
しかしながら、日本の会計基準やIFRS(International Financial Reporting Standers:国際財務(報告)基準)では公式に定義・規定されてはおりません。そのため、IFRSに基づく財務諸表の損益計算書(P/L)上で「EBITDA」という文字が直接記載されることはありません。2024年(令和6年)7月にIASB(International Accounting Standers Board:国際会計基準審議会 )が公表したIFRS18号「財務諸表における表示及び開示」では欄外に以下のように記載されております。
英文
IFRS 18 does not define EBITDA (earnings before interest, tax, depreciation and amortisation). Instead, IFRS 18 specifies that ‘operating profit or loss before depreciation, amortisation and impairments within the scope of IAS 36’ (OPDAI) is not an MPM. The IASB considered introducing a defined subtotal for EBITDA. However, the IASB’s research showed that there is no consensus among investors about what EBITDA represents. If a company provides an EBITDA subtotal in its public communications that is not calculated in the same way as OPDAI, that subtotal would be an MPM, so the company will need to provide disclosures about it.
以下が日本語訳です。
IFRS第18号は、EBITDA(利息・税金・減価償却・償却前利益)を定義していません。その代わりに、同基準は、「減価償却費、償却費、およびIAS第36号の適用範囲内の減損損失を控除する前の営業利益または営業損失」(OPDAI)はMPM(Management-defined Performance Measures:経営者定義の業績指標)に該当しないと規定しています。IASBは、EBITDAについて定義された小計項目を導入することを検討しました。しかし、IASBの調査により、EBITDAが何を表すかについて投資家の間で合意が得られていないことが明らかになりました。企業が公表資料において、OPDAIとは異なる方法で算出したEBITDAの小計を提示する場合、その小計はMPMに該当するため、企業はそれに関する開示を行う必要があります。
IFRS第18号全文は以下のURLを参照してください。
このEBITDAは米ケーブルテレビ大手「テレ・コミュニケーションズ(TCI)」の元CEOで、リバティメディアの会長を務めたジョン・マローン(John Malone)氏が考案したものです。マーロン氏は1970年代、多額の初期投資と借入を伴う成長戦略(レバレッジ戦略)を展開していました。当時のウォール街が用いていた一株当たりの純利益(Earnings Per Share : EPS)などの指標では、巨額の設備投資(減価償却)や負債(支払利息)を抱える同社の真の収益力が正当に評価されないと考え、キャッシュ創出力を示す新しい財務指標として考案されました。
一方でEBITDAには、過剰な設備投資やM&Aによって生じた損失をマイナス要因として取り込むことができないという欠点があります。具体的な例として、ITバブルの頃、この欠点をアメリカの通信事業者・ワールドコムが不正に活用しました。ワールドコムがとった手法は、他の通信事業者が敷設した光ファイバー回線について同社がリースを受ける際に、その代金を設備投資として計上するというものでした。当時はリース代金は本来は販売費及び一般管理費として計上すべきものでしたが、設備投資として計上したために、EBITDAが水増しされたのである。ワールドコムの株価は水増しされたEBITDAに基づいて過大に評価されたが、やがて経営実態が明らかになり、同社は2002年に経営破綻しました。
EBITDAを利用した財務分析指標
EBITDAを使用し財務分析等を行う場合の指標として以下のものがあると言われています。
・EBITDAマージン(企業の収益力を判断する)
EBITDAマージンは、売上に対するキャッシュフロー、すなわち、売上のうちEBITDAとして残った割合がどれくらいかを表しています。ですから、EBITDAマージンが大きければ収益が高いと判断できます。
EBITDAマージン=EBITDA ÷ 売上高
・EV/EBITDA倍率(M&Aの買収コスト回収期間)
EV/EBITDA倍率は、EV(:Enterprise Value 企業価値)がEBITDAの何倍にあたるのかを表す指標です。企業を買収(M&A)する際、投じた資金を何年で回収できるかを示す指標です。
EV/EBITDA倍率=EV ÷ EBITDA
EV = 株式時価総額 + 有利子負債 - 現預金
株式時価総額:株主の持ち分価値(株価 × 発行済株式数)
有利子負債:金融機関からの借入金など、将来返済すべき負債
現預金:企業が保有する現金および預金(買収後に手元に入る)
一般的な目安は5倍〜10倍と言われています。倍率が低いほど「短期間で投資資金を回収できる=割安」と判断されます。ただし、業種の成長性や規模によって相場は変動します。簡易買収倍率とも呼ばれ、買収にかかる初期投資額を回収するまでの年数が、この倍率によって求められます。数値が少ないほどコスト回収にかかる期間は短くなります。
・Net Debt / EBITDA倍率(EBITDA有利子負債倍率)
借入金などの有利子負債を、EBITDAの何年分で返済できるかを示す指標で財務健全性・借入返済能力の目安となります。特に、LBO(Leveraged Buyout レバレッジド・バイアウト:借入金を活用した買収)によるM&Aでは、買収資金の相当部分を金融機関からの借入(Debt)で調達することになります。その際、金融機関が注視する財務指標が「Net Debt / EBITDA倍率」と言われています。Net Debt(純有利子負債)をEBITDAで除したこの倍率では、「借入金を返済するのにEBITDAの何年分が必要か」が示されます。一般的な目安は10倍以内(適正水準)と言われています。数値が小さいほど返済能力が高く、金融機関からの評価も高くなります。一般的に10倍を超えると「借りすぎ(返済負担が大きい)」と判断される傾向があります。一般的に、この倍率が低いほど財務の安全性は高いものと判断されます。
EBITDAが使われている税制
このEBITDAですが、法人税の計算においては所謂「過大支払利子税制(租税特別措置法第66条5の2:純支払利子等にかかる課税の特例)」において「調整所得金額」の計算部分で使用されております。
「過大支払利子税制(Earnings Slipping Rules)」とは、平成24年税制改正(財務省の「平成24年度税制改正の解説」を参照しております)において新設された税制です。
1 制度導入の背景・趣旨
資金の流動性と代替可能性により、多国籍グループはグループ法人の負債額を調整することで有利な税務結果を得ることが可能になっていることから、企業の所得の計算上、支払利子が損金に算入されることを利用して、過大な支払利子を損金に計上することで、税負担を圧縮して租税回避を行う事例が多くみられるようになりました。これは、OECDにおけるBEPS(Base Erosion and Profit Shifting:税源浸食と利益移転)プロジェクトにおける「利息控除およびその他の財務支払いを伴う基礎侵食の制限、アクション4 - 2016年最新情報(Limiting Base Erosion Involving Interest Deductions and Other Financial Payments Action 4 – 2016 Update)」に記載されております。そこで、OECD加盟国では多国籍企業の経営状態を把握するに際して有効な指標であるEBITDAにより導き出される数値を基にして企業の支払利息の損金算入に制限を加えることとしました。
OECDのURL
上記サイトの仮訳(国税庁HPより)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/kokusai/beps/pdf/005.pdf
日本でもこれに倣い支払利息の損金算入制限する税制が平成24年の税制改正により創設されました。過大な支払利子への対応手段としては、大きく分けて
①過大な利率に対応する手法、
②資本に比して過大な負債の利子に対応する手法、
③所得金額に比して過大な支払利子に対応する手法
という、3つの手法が考えられます。わが国の現行制度は、
①については移転価格税制(租税特別措置法第66条の4 : Transfer Pricing)、
②については過少資本税制(租税特別措置法第66条の5 : Thin Capitalization Rule)
で対応しております。
しかしながら、①の過大な利率に着目する手法は、支払利子の「利率」の水準が独立企業原則に照らして高い場合には対応できるものの、過大な量の支払利子には対応するのが困難であるという欠点があります。また、②の「負債」の水準が資本に比して過大な利子に対応する手法は、借入れと同時に資本を増やすことで支払利子の量を増やすことが可能であるという欠点があります。この点、利子を支払った側の法人の利子支払前の所得と対比して過大な利子を認定し、損金算入を制限する③の手法は、①及び②の手法の欠点を補完し、過大な支払利子による課税ベースの侵食を防止するためのより直接的、かつ、効果的な措置になるものと考えられます。以前はわが国は、③に対応する制度を有しておらず、過大な量の支払利子を通じて税負担を圧縮する租税回避に脆弱でした。特に、多国籍企業グループ内のような関連者間においては、借入れを比較的容易に設定できるため、過大な支払利子を通じた税負担の圧縮は、関連者間の租税回避の手段として用いられるおそれが高いといえます。
さらに、近年、主要先進国は、利子に関して、租税条約において源泉地国免税を導入しており、わが国にとっても、国際的な投資交流の促進の観点から、今後の検討課題となり得ると考えられます。一方で、利子に関する源泉地国課税が免除される場合には、過大な支払利子による国際的な租税回避のリスクが一段と高まるという側面も生じさせます。
以上のような状況を踏まえ、企業の事業活動の実態にも配意しながら、関連者間において所得金額に比して過大な利子を支払うことを通じた租税回避を防止し、わが国の課税ベースの侵食を防止するための措置を講ずることとされました。これに該当する条文は租税特別措置法第66条の5の2及び同法第66条の5の3です。
2 制度の概要
本制度は、関連者純支払利子等の額が調整所得金額の20%(創設時は50%)を超える場合には、その超える部分の金額を当期の損金の額に算入しない制度とされています。ここで「関連者純支払利子等の額」とは、関連者等への支払利子等の額の合計額からこれに対応する受取利子等の額を控除した残額とされます。また、「調整所得金額」とは、当期の所得の金額に、関連者純支払利子等の額、減価償却費の額及び受取配当等の益金不算入額等(税務上のEBITDA)の20%(創設時は50%)を加算する等の調整を行った金額とされます。なお、本制度による損金不算入額は最長7年間繰り越して、一定の限度額の範囲内で損金算入することができます。制度の概要を図示すれば以下の図とおり(財務省のHPより)。

(注1)対象支払利子等の額の合計額からこれに対応する受取利子等の額の合計額を控除した残額をいう。対象支払利子等の額とは、支払利子等の額のうち対象外支払利子等の額(その支払利子等を受ける者の課税対象所得に含まれる支払利子等の額等)以外の金額をいう。
(注2)グループ通算制度においては、適用免除基準のうち金額基準につきグループ全体で判定を行う点を除き、基本的に単体納税と同様の取扱いとなる。
(注3)令和4年4月1日から令和7年3月31日までの間に開始した事業年度の損金不算入額に係る繰越期間は10年間。
参照した財務省のURL https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/international/335.htm
。
3 条文構成
関連者等に係る純支払利子等の課税の特例(過大支払利子税制(単体))の条文構成(令和8年8月1日現在)は以下のとおりです。
【法律】措法66の5の2(関連者等に係る支払利子等の損金不算入)
規定内容
第1項 損金不算入額の計算
第2項 関連者支払利子等の額及び関連者等の定義・控除対象受取利子等合計額の定義
第3項 適用除外
第4項 適用除外に係る適用要件
第5項 摘用除外に係る適用要件の宥恕
第6項 過少資本税制との適用関係の調整
第7項 本制度に係る損金不算入額と外国子会社合算税制との適用調整
第8項 外国法人に係る本制度の適用
第9項 外国法人に係る本制度の不適用
第10項 外国法人に係る本制度の不適用
第11項 政令委任
【政令】措令39の13の2(関連者等に係る支払利子等の損金不算入)
規定内容
第1項 調整所得金額の計算
⇒「EBITDA」はここで使用されています。ここで規定されているものを「税務上のEBITDA」と言い、法人税法・租税特別措置法に定められている「別段の定め」を考慮して算出されるものです。法人税法での所得金額(課税所得)の算出には会計上(一般に公正妥当と認められた会計基準)の所得金額に法人税法等に定められた「別段の定め」に関する事項を確定した決算上経理しなければならないもの(決算調整)等が多数あります。このため、これらを考慮した上で「EBITDA」を算出する必要があります。この第1項では租税特別措置法の条項や法人税法の条項が数多く記載してあるので、この政令の部分は非常に読みづらくなっております。立法担当者の作業は大変だったと思います。「調整所得金額」の詳細は「下記4」を参照してください。内容をみて「法人税法・租税特別措置法のこの条項が入っていない。」とか「法人税基本通達等で損金経理により損金算入を認めているもの等はどうなるのか。」との事柄に考えが及ぶと思いますが、租税法定主義の考え方から、この条文どおりであると考えます。
第2項 支払利子等に準ずるものの定義
第3項 支払利子等に含まれる費用・損失の定義
第4項 課税対象所得の定義
第5項 除外対象特定債券現先取引等に係る利子の計算
第6項 調整後平均負債残高の計算
第7項 帳簿価額の定義
第8項 関連者(法人)の定義
第9項 関連者(法人)の発行済株式等保有割合の計算
第10項 関連者(個人)の定義
第11項 関連者(個人)の発行済株式等保有割合の計算
第12項 関連者(個人)の間接保有割合の計算
第13項 一定の第三者の定義
第14項 関連者等の判定時期
第15項 受取利子に準ずるものの定義
第16項 控除対象受取利子等合計額の計算
第17項 過少資本税制との適用関係の調整
第18項 調整対象金額の計算
第19項 適用調整を行う金額の計算
第20項 措法66の5の3②の適用がある場合の調整
第21項 特定子法人事業年度の定義
第22項 過少資本税制との適用関係の調整(外国法人)
第23項 負債利子控除との調整
【法律】措法66の5の3(超過利子額の損金算入)
規定内容
第1項 超過利子額の損金算入
第2項 本制度に係る超過利子額と外国子会社合算税制との適用調整
第3項 適格合併等に係る被合併法人等の超過利子額の引継ぎ
第4項 超過利子額の損金算入に係る適用要件
第5項 超過利子額の損金算入に係る適用要件の宥恕
第6項 政令委任
【政令】措令39の13の3(超過利子額の損金算入)
規定内容
第1項 調整対象利子額の計算
第2項 対象事業年度の定義
第3項 適用調整を行う金額の計算
第4項 適格合併等に係る被合併法人等の超過利子額を引継ぐ場合の適用要件
第5項 適格合併等に係る被合併法人等の超過利子額を引継ぐ場合の事業年度
第6項 損金算入された超過利子額等がある場合の留保金課税との調整
第7項 損金算入された超過利子額等がある場合の利益積立金額の調整
第8項 損金算入された超過利子額等がある場合の負債利子控除との調整
【省令】第66条の5の2及び第66条の5の3 《対象純支払利子等に係る課税の特例》に関する別表
別表17(2) 対象純支払利子等の額の損金不算入の適用除外に関する明細書
別表17(2の2) 対象純支払利子等の額の損金不算入に関する明細書
⇒「調整所得金額」はここに記載して算出します。
別表17(2の2) 付表1 対象支払利子等合計額の計算に関する明細書
別表17(2の2) 付表2 控除対象受取利子等合計額の計算に関する明細書
別表17(2の2) 付表3 調整対象金額に係る調整額の計算に関する明細書
別表17(2の3) 超過利子額の損金算入に関する明細書
別表17(2の3) 付表 適格合併等が行われた場合の調整後の超過利子額の計算に関する明細書
【通達】第66条の5の2及び第66条の5の3 《対象純支払利子等に係る課税の特例》関係
規定内容
66の5の2-1 原価に算入した支払利子等
66の5の2-2 原価に算入した支払利子等の調整
66の5の2-3 短期の前払利息
66の5の2-4 金銭債務の償還差損等
66の5の2-5 経済的な性質が利子に準ずるもの
66の5の2-6 負債の利子の範囲
66の5の2-7 除外対象特定債券現先取引等に係る負債の帳簿価額の平均的な残高の意義
66の5の2-8 除外対象特定債券現先取引等に係る平均負債残高の計算方法
66の5の2-9 対応債券現先取引等に係る資産の帳簿価額の平均的な残高の意義
66の5の2-10 除外対象特定債券現先取引等に係る支払利子等の額の計算方法
66の5の2-11 債券現先取引等に係る負債の帳簿価額及び資産の帳簿価額
66の5の2-12 法人が発行した債券を取得した者が実質的に多数でないもの
66の5の2-13 発行済株式-払込未済株式
66の5の2-14 直接又は間接保有の株式
66の5の2-15 名義株がある場合の直接又は間接保有の株式
66の5の2-16 実質的支配関係があるかどうかの判定
66の5の2-17 控除対象受取利子等合計額に含まれる内部利子の額
66の5の2-18 対応債券現先取引等に係る受取利子等の額の計算方法
66の5の2-19 公社債の利子から成る部分の金額
4 調整所得金額(租税特別措置法施行令第39の13の2)の詳細
(1) EBITDA
当該事業年度において支出した寄附金の額の全額を損金の額に算入して計算した場合の当該事業年度の所得の金額(EBITDAのうちEarnings Before Tax)
(2) 加算に関する条項
・ 租税特別措置法第66条の5の2第1項(対象純支払利子等の額(EBITDAのうちInterest)
・ 減価償却資産に係る償却費の額で当該事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入される金額(EBITDAのうちDepreciation と Amortization)、
(注) 損金経理(法人税法第72条第1項第1号又は第144条の4第1項第1号若しくは第2号若しくは第2項第1号に掲げる金額を計算する場合にあつては、同法第72条第1項又は第144条の4第1項若しくは第2項に規定する期間その他の財務省令で定める期間に係る決算において費用又は損失として経理することをいう。)の方法又は当該事業年度の決算の確定の日までに剰余金の処分により積立金として積み立てる方法により特別償却準備金として積み立てた金額を含む。
・金銭債権の貸倒れによる損失の額で当該事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入される金額
・ 匿名組合契約等(匿名組合契約(当事者の一方が相手方の事業のために出資をし、相手方がその事業から生ずる利益を分配することを約する契約を含む。)及び外国におけるこれに類する契約をいう。以下この項において同じ。)により匿名組合員(匿名組合契約等に基づいて出資をする者及びその者の当該匿名組合契約等に係る地位の承継をする者をいう。以下この項において同じ。)に分配すべき利益の額で当該事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入される金額
(3 ) 減算に関する条項
・租税特別措置法第66条の5の2第7項(法人が支払を受ける利子)
・租税特別措置法第66条の5の3第2項(超過利子額の繰越損金算入)の規定の適用に係る租税特別措置法第66条の6第2項第1号(外国子会社合算税制 : タックスヘイブン(Tax Haven)対策税制)において、合算課税の対象を判定するための基礎となる「外国関係会社」に規定する外国関係会社に係る同条第1項に規定する課税対象金額、同条第8項に規定する部分課税対象金額若しくは同条第10項に規定する金融子会社等部分課税対象金額)
・租税特別措置法第66条の9の2第1項(コーポレート・インバージョン(Corporate Inversion:税負担軽減を目的とした本社の海外移転)対策税制)に規定する外国関係法人に係る同項に規定する課税対象金額、同条第8項に規定する部分課税対象金額)
・租税特別措置法第66条の9の2第10項(コーポレート・インバージョン対策税制)に関して二重課税を防止するために対象となる金額や過去の控除項目などの計算、あるいは定義について委任・調整を行うための技術的な規定等に関する金融関係法人部分課税対象金額)
・ 匿名組合契約等により匿名組合員に負担させるべき損失の額で当該事業年度の所得の金額の計算上益金の額に算入される金額
(4)不適用に関する条項
・租税特別措置法第52条の3第5項及び第6項(特別償却準備金取り崩し益)
・租税特別措置法第57条の7第1項(関西国際空港用地整備準備金)
・租税特別措置法第57条の7の2第1項(中部国際空港整備準備金)
・租税特別措置法第59条第1項及び第2項(新鉱床探鉱費又は海外新鉱床探鉱費の特別控除)
・租税特別措置法第59条の2第1項及び第4項(対外船舶運航事業を営む法人の日本船舶による収入金額の課税の特例:トン数税制)
・租税特別措置法第59条の3第1項(特許権等の譲渡等による所得の課税の特例:イノベーションボックス税制)
・租税特別措置法第60条第1項、第2項及び第6項(沖縄の認定法人の課税の特例:沖縄の特別地区等に進出した法人に対する所得の特別控除等)
・租税特別措置法第61条第1項及び第5項(国家戦略特別区域における指定法人の課税の特例:地方活力向上地域等において特定事業等を行った場合等の所得の特別控除等)
・租税特別措置法第61条の2第1項(農業経営基盤強化準備金:認定農地所有適格法人などの担い手となる農業法人が、国や自治体から「経営安定のための交付金や補助金」を受け取った場合の課税の繰延)
・租税特別措置法第61条の3第1項(農用地等を取得した場合の課税の特例(圧縮記帳))
・租税特別措置法第66条の5第1項(過小資本税制)
・租税特別措置法第66条の5の2第1項(対象純支払利子等に係る課税の特例:過大利子税制による損金不算入)
・租税特別措置法第66条の5の3第1項及び第2項(対象純支払利子等に係る課税の特例:超過利子額の損金算入)
・租税特別措置法第66条の7第2項及び第6項(外国子会社合算税制(タックスヘイブン対策税制)が適用される場合の二重課税を調整するための「外国税額控除」)
・租税特別措置法第66条の9の3第2項及び第5項(コーポレート・インバージョン(Corporate Inversion:税負担軽減を目的とした本社の海外移転)対策税制における、外国税額控除の適用要件と計算の特例)
・租税特別措置法第66条の13第1項、第5項から第13項まで及び第17項(特定事業活動として特別新事業開拓事業者の株式の取得をした場合の課税の特例:オープンイノベーション促進税制と呼ばれ、特別新事業開拓事業者(スタートアップ企業)に出資した場合の課税の特例)
・租税特別措置法第67条の12第1項及び第2項(任意組合などの組合事業等による損失がある場合の課税の特例)
・租税特別措置法第67条の13第1項及び第2項(有限責任事業組合(LLP)の組合員の組合事業等による損失がある場合の課税の特例)
・租税特別措置法第67条の14第1項(特定目的会社(SPC)が支払う利益の配当額の損金算入)
・租税特別措置法第67条の15第1項(投資法人に係る課税の特例:主にJ-REIT(日本不動産投資信託)などの投資法人が一定の要件を満たした際、投資主への分配金の損金算入)
・租税特別措置法第68条の3の2第1項(特定目的信託(SPC等)に係る受託法人の課税の特例:「利益の分配の額」の損金算入)
・租税特別措置法第68条の3の3第1項(特定投資信託(ETF等)に係る受託法人の一定の要件を満たす収益の分配額の損金算入)
・法人税法第27条(中間申告における繰戻しによる還付に係る災害損失欠損金額の益金算入)
・法人税法第33条第2項(資産の評価損(強制低価法):法人税法施行令第68条第1項各号(棚卸資産、有価証券、固定資産、繰延資産)に掲げる資産につき当該各号に定める事実が生じたものに適用される場合)、
・法人税法第41条(法人税額から控除する外国税額の損金不算入)
・法人税法第41条の2(分配時調整外国税相当額の損金不算入)
・法人税法第57条第1項(繰越欠損金の損金算入)
・法人税法第59条第1項から第4項(会社更生等による債務免除等があつた場合の欠損金の損金算入)
・法人税法第62条の5第5項(現物分配による資産の譲渡に係る事業税等の損金算入)
・法人税法第64条の5第1項及び第3項(完全支配関係がある法人の間の損益通算)
・法人税法第64条の7第6項(完全支配関係がある法人の間の欠損金の通算)
・法人税法第64条の8(通算法人の合併等があつた場合の欠損金の損金算入)
・法人税法第142条の4第1項(恒久的施設(Permanent Establishment)に帰せられるべき資本に対応する負債の利子の損金不算入)
・法人税法施行令の一部を改正する政令(昭和42年政令第106号)附則第5条第1項及び第2項(保険業法に規定する相互会社や生命保険会社等が、契約者に対して支払う契約者配当金の損金算入)
EBITDAのその他の利用法
EBITDAは多国籍企業の業績を評価する場合や、異なる国の同業他社間で業績を比較する場合等に有用な指標であるとされていることから、別の使用方法も考えられます。
税務調査において調査対象者(法人)を抽出するに際して、例えば「EBITDAマージン(=EBITDA÷売上高)」を使用する方法があります。これは、私が国税在勤中に行った方法ですが、事業所得を有する個人所得税の納税者について、一定の地域の同一業種の者の集合について「事業所得の売上高」と「事業所得の所得金額」について回帰分析を行い、相当の相関係数が認められたことから、「一定の相関関係が認められない者を調査対象とすべきではないか?」と説明したことがあります。
回帰分析では、Y(独立変数:目的変数)とX(従属変数:説明変数)との間に一定の相関関係が認められるか否かを検討します。ここで相関関係が認められる場合(決定係数(R2)が1に近い)は
Y=AX+Bの線形回帰が認められます。
変数Xと変数Yとの間に相関関係があると考えられる場合、一次関数の相関関係として係数Aと係数Bが求められることから、一定の地域の同一業種の者の集合について、Yを売上高、Xを所得金額として回帰分析を行い、定数Aと係数Bが求められます。XとYの間に相関関係が認められますので、この集合については
売上高=A×所得金額+Bの一次関数が成立します。
この集合の中の対象者についてA×所得金額+Bで算出した数値(推定売上高)と実際の数値(実際の売上高)との間の乖離度合を求め、申告した売上高の金額が回帰分析の結果算出された推定売上高との間に相当の相違がある者についてはその申告内容に疑問があることになります。税務調査の対象者を見出すためにはこの方法を利用する方法があります。だからといって乖離のある者について申告漏れがあるとは限らないので、更に決算書等を検討する必要がある事は言うまでもありません。当時はまだXを「所得金額」として、X(所得金額)/Y(売上高)の所得率で判断していましたが、損益計算書からEBITDAの値を使用すれば係数Aと係数Bの値の精度は上昇します。
私が税務署に勤務し始めた頃、当時の同じ部門の上席国税調査官が実地調査で何件も多額の法人税の課税漏れを見つけていました。調査担当になったばかりの私は「どうやって調査対象法人を見つけているのですか?」と聞いたことがあります。その上席は「野口さん。私は法人税の申告書を見れば税金をごまかしているかどうかが臭うんだよ!」と言っていました。当時は提出された法人税の申告書を部門の全員が内容のチェックをしていましたのでこの様な作業が可能でした。このため、当時の上席国税調査官が持っている「職人芸」がありました。確かに、私も上席国税調査官であった当時はそれなりに「臭って」いましたが、e-Taxで申告書が提出されるようになってからはデータ送信され、申告書はその書面をアウトプットしない限り見ることはありません。電子データには全く「臭い」はありません。こうなると、申告データからEBITDA等を算出して回帰分析・重回帰分析を利用して調査対象者(法人)を抽出する方法が有用な方法となってくるのかもしれません。
実際にどのようにして調査対象者(法人)を抽出しているかは分かりませんが、私が国税在勤中にはこの様な方法から調査対象法人(者)を抽出したことがあります。一例としてEBITDAにはこの様な使用方法があります。