税務調査について1(税務調査と会社法)
2026年01月15日 12:15
税務調査で問題になることに会社に計上すべき売上の一部を計上しなかったり、噓の経費を計上したり・・・ とか色々と税金を誤魔化す社長がいたりする場合があります。中には「趣味が税金を誤魔化すこと」と言う人もいます。「売上の一部を計上しないとか噓の経費を計上するとかして税金を誤魔化してはいけません! 」とは税法の何処に書いてあるのでしょうか?
例えば、法人税法では第159条において「偽りその他不正の行為により、・・・法人税を免れ又は法人税の還付を受けた場合には、法人の代表者、代理人、使用人その他の従業者でその違反行為をした者は、十年以下の拘禁刑若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。」とあります。また、誤魔化した税金について税金については国税通則法第条において修正申告書の提出(国税通則法第19条)、更正処分(国税通則法第24条)等が規定されています。
実は法律上は「これで終了っ!」とはなりません!関連する法律として「会社法」があります。「会社法」では「会社の取締役などが自己または第三者の利益を図る目的で任務に背き、会社に財産上の損害を与えた場合に成立する犯罪(特別背任):会社法960条」があります。罰則は「10年以下の拘禁刑もしくは1000万円以下の罰金、またはその両方」が科されます。これは、一般的な背任罪(刑法上の背任罪)よりも重い罰則です。会社の売上の一部を計上しなかったり、噓の経費を計上したり・・・と言う事については「会社が得るべきであった利益」なので法人税法に規定するの所得金額に含めるべきものであると同時に、会社に損害を与えた者に対する損害賠償請求権が会社法により会社に生ずることになります。
これは先に述べた特別背任と言う「犯罪」に該当することになりますが、国税職員の行う税務調査は「国税通則法第74条の8」により「犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。」と規定されていることから、あくまでも正しい納税が行われているか否かの確認に限定されているものであります。税務署の行う税務調査では追加して法人税等の納税をしてしまえばそれで完了となります。追加して加算税等(納税額が少なかった事に対する罰金のようなもの)及び延滞税(納税が遅れた事による利息相当)も賦課されます(国税通則法第60条以降)。具体的な数値については申し上げられませんが、税務調査で指摘される申告漏れについてはこれに該当するものがかなりの部分を占めています。
では、税務調査で追加して法人税等を納めるべき税額が生じたとき「特別背任」で訴訟が起こるのか? というと殆ど訴訟となりません。何故かと言うと「会社が得るべきであった利益」を得た者(殆どの会社では代表取締役)と会社の出資者が一致しているからです。通常、株式会社では会社の「所有」と「経営」の分離と言う問題があるのですが、「所有者(株主)」=「経営者」であれば実行の当事者は訴訟を起こすべき株主と同一人物であることが殆どです。つまり、「私の会社をどうしようと私の勝手だっ!」と言うことです。株式会社には監査役がいるのですが名目上の存在の場合が多くあります。こうなると、殆どの会社の場合、その決算の正確性を検証するのは税理士及び税務職員だけという事になってしまいます(公認会計士の監査義務はある程度の規模の大きな法人にのみ)。
なお、法人税法第159条に規定する罰則については通常は査察部で行う調査の場合のみです。これは国税通則法により一般の税務調査とは一線を画しております(国税通則法第131条以降)。
本来は税金を誤魔化しておいて「バレちまったぃ!テヘ、ぺろっ!」と言う訳には法律上はいかないのです。稀にですが、経理担当取締役である代表者の配偶者が代表者の知らないところで「会社の売上の一部を計上しなかったり、噓の経費を計上したり・・・」また、「愛人の存在が発覚したり・・・」と言う事が税務調査で明らかになって「離婚だっ!」といって騒動になる場合があります。こちらの方が大変なことかもしれません。身内の者が最強(恐)のステークホルダーだったりします。